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最近の判例(専門家責任)

▽東京地裁H28.8.24判決(判タ1433-211)

【弁護士】 被相続人所有の不動産について,弁護士の助言により被相続人から孫に贈与を原因とする所有権移転登記をした相続人が単純承認したものとみなされた(原告が行った登記手続の申請行為が,被相続人の生前処分の履行としての相続財産の処分に当たるとされた)ことにつき,当該弁護士に説明義務違反があるとされた(弁護士が単純承認とみなされる可能性は半々程度であると考えたこと自体,見通しを誤ったものといわざるを得ないとされた)。

 

◎最高裁平成28年6月27日第1小法廷判決(判タ1428-25)【上告棄却】

【司法書士】債務整理を依頼された認定司法書士は,当該債務整理の対象となる個別の債権の価額が140万円を超える場合には,その債権に係る裁判外の和解について代理することができない(その範囲は,委任者,受任者との関係だけでなく,和解交渉の相手方など第三者との関係でも,客観的かつ明確な基準によって決められるべき)。

 

▽東京地裁H27.10.15判決(判タ1424-249)【確定】

【弁護士】 弁護士が破産手続開始申立ての受任通知を送付してから4ヶ月後に申立てが行われないまま辞任したが,その間に債務者が不動産を売却したことについて,債権者が弁護士に対して不法行為又は債務不履行による損害賠償を請求した事案。判決は,「当該弁護士が受任通知の送付より債権者の権利行使を制約しておきながら合理的な理由もなく破産申立てを行わず,その間に債務者の責任財産を不当に減少させて債権の実現を困難ならしめたような場合については,債権者が当該弁護士に対して直接損害賠償請求をすることを否定すべき理由はな」いと判示したが,本件では,依頼者が必要な資料の提供に応じず,不動産売却についても虚偽の説明をしていた等の事情から弁護士の責任を否定した。

 

▽東京地裁H27.11.10判決(判タ1426-253)【確定】

【司法書士】 不動産の売買契約の買主から委託を受け,売主と名乗る詐称人の本人確認及びその持参さいた登記手続書類の確認を行った司法書士の注意義務違反が争点となった事例。判決は,「依頼者の用意した書類が偽造,変造されたものであるか否かの成立に関する真否については,原則として調査義務を負わない」としたうえで,①依頼者から特別に真否の確認を委託された場合,②偽造・変造が一見して明白である場合,③書類の真否を疑うべき相当な理由がある場合には,少なくとも依頼者に注意を促すなどの適宜の措置を取る義務があるとした(注意義務違反を否定)。

 

▽東京地裁H27.12.21判決(判タ1425-282)【控訴後控訴状却下確定】

【司法書士】 順次売買による所有権の登記の連件申請における後件の登記のみの申請代理の委任を受けた司法書士について,「前件の申請人がその登記義務者本人でないと前件の登記が実行されない結果,後件の登記も実行されることがないため,後件の登記権利者としては,前件の申請人がその登記義務者本人であることに関心があるとはいえるものの,それだけでは,司法書士が後件の登記申請代理の身を受任した場合において,前件の申請人が登記義務者本人でないことを疑うべき特段の事情があるときでない限り,自ら受任していない前件の登記についてまで,その登記義務者の本人確認をすべき注意義務があるということはできない。」

 

〇東京高裁平成26年5月1日(判タ1421-125)【確定】

【刑事弁護】「被告人の権利・利益を擁護することは,刑事弁護活動の本質であり,弁護人には,最善努力義務,誠実義務が課されているから,被疑者・被告人にとって必要な事項を時宜にかない,適切かつ十分な内容で行うことが要請されている。そして,「最善」の弁護活動とは,当該弁護士が主観的に最善と判断するものをいうのではなく,刑事弁護を行う平均的水準の弁護士が合理的に考えて最善と判断する弁護活動をいうものと解される」「被告人は1審以来一貫して無罪を主張しているのであるから,弁護人は,被告人の意思を尊重して弁護活動をすることが行為規範として要請されている」(控訴審の国選弁護人が被告人の主張を逐一否定し,被告人は有罪であると考えていると主張するに等しい控訴趣意書を作成・提出した行為が品位を失うべき非行に当たるとされた懲戒処分に対する裁決取消請求事件)。

 

▽東京地裁平成25年8月27日判決(判タ1417-232)

【弁護士報酬】別件の賃料減額請求訴訟(賃料月額4900万円の確認及び12億円の支払を求めるもの)等に関連して,成功報酬を7500万円と比較的高額の弁護士報酬の支払合意がなされた件について,依頼者が,錯誤無効,公序良俗違反による無効,信義則等による報酬額の減額を主張したが,いずれも認められなかった事案。

 

▽東京地裁平成25年7月24日判決(判時2205-56)【控訴】

≪民間会社≫ 破産会社が破産手続開始決定の申立前,事業再建会社と事業譲渡等のアドバイザリー契約を締結し,助言を受けて事業を譲渡したが,破産後,破産管財人が否認権を行使し,さらに事業再建会社に債務不履行等に基づく損害賠償請求をした事案。被告が弁護士等の企業再生の専門家を擁する各種ファイナンシャルアドバイザリーを中心としたサービスを提供する株式会社であり,職業倫理上の法令順守義務を負うのみならず,契約にもその定めがあるから,一般的に被告は助言等を行うに当たり,法令を遵守し適法かつ有効な行為を助言すべき義務を負い,少なくとも,破産手続において否認権の行使を受けることのないようにすべき義務を負う旨の判示。

▽東京地裁H25.5.30判決(判タ1417-357)【控訴】

【司法書士】 不動産の所有権移転登記が連件申請の方法により行われた事案。判示事項は次のとおり。司法書士は,登記手続を依頼された場合,依頼者の用意した書類が偽造,変造されたものであるか否かについては,原則として調査すべき義務を負わないが,①特に依頼者からその真否の確認を委託された場合,②当該書類が偽造又は変造されたことが一見して明白である場合,③司法書士が有すべき専門的知識等に照らして,書類の真否を疑うべき相当な理由が存する場合には,調査義務を負う。連件申請であることを知って登記手続を受任した司法書士は,その依頼者に対してだけではなく,委任関係のない後件の登記権利者に対しても調査義務を負う。他方,後件の登記手続を代理する司法書士は,原則として,前件の登記手続書類については,前件の登記が受理される程度に書類が形式的にそろっているか否かを確認する義務を負うに止まり,前件の登記手続書類の真否について確認することを依頼者との間で合意したか,前件の登記手続を代理した別の司法書士がその態度等から,およそ司法書士としての職務上の注意義務を果たしていないと疑うべき特段の事情がない限り,前件の登記手続書類の真否について調査すべき義務を負わない。結論として,前件の登記手続を代理した司法書士の不法行為責任が認められたが,原告に9割の過失相殺(一部認容額は約2475万円)。

 

◎最高裁平成25年4月16日第3小法廷判決(判時2199-17)【破棄差戻】

≪弁護士≫ (このような事情の下においては)債務整理に係る法律事務を受任被上告人は,委任契約に基づく善管注意義務の一環として,時効待ち方針を採るのであれば,Aに対し,時効待ち方針に伴う上記の不利益やリスクを説明するとともに,回収した過払金をもってプロミスに対する債務を弁済するという選択肢があることも説明すべき義務を負っていたというべきである旨の判示。

 

▽東京地判H24.12.27(判時2185・96)【控訴】

≪税理士≫ 賃貸用共同住宅を建築することとした原告が,自動販売機を設置して課税売上を生じさせることにより工事代金に係る消費税の還付を受けようとし,税務書類の作成等を税理士である被告に委任したが,被告が消費税課税事業者選択届出書を提出すべき時期に提出せず,消費税の還付を結果として受けられなかったとして損害賠償請求をした事案。判決は,「税理士は,委任者の説明に基づき,その指示に従って申告書等を作成する場合にも,委任者の説明及び指示のみに基づいて事務処理を行えば足りるというものではなく,税務の専門家としての観点から,委任者の説明内容を確認し,それらに不適切な点があって,これに依拠すると適切な税務申告がされない恐れがあるときには,不適切な点を指摘するなどして,これを是正した上で,税務代理業務等を行う義務を負うと解される。」としたうえで,原告から消費税法上の課税売上の有無について,被告の誤った説明を軽信した点について過失があるとし,836万円の損害賠償を命じた。

 

▽東京地判平成24年11月27日(判時21888・66)【控訴】

≪弁護士≫ 原告は亡弟の債務整理及び相続について被告(弁護士)に委任したが,被告は債務について取引履歴を一部取得せず,取得した一部は引き直し計算をせず,(これらがなされていれば不動産を売却処理せずに済んだ可能性が高いのに)不動産を売却させた事案において,裁判所は,誤った債務額を前提に不動産売却の不適切な助言をした点,費用対効果に見合わない中途半端な不動産処理の助言をした点,適切な助言指導をせずに廉価での不動産売買契約を招いた点等に委任契約上の善管注意義務違反があったとし,債務整理の損害419万,不動産売却による損害300万,売却しなければ得られた2年分の賃料及び支払った立退料644万,計1364万円の損害賠償が認容された。

 

▽東京地裁平成24年9月13日判決(判時2167-46)【確定】

≪弁護士≫ 弁護士が犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律3条1項に基づき銀行預金口座に係る取引の停止等の措置を求めるなどしたことについて不法行為が成立しないとされた事例。判決は,弁護士の調査に不十分な点があったとはいえず,依頼者の供述する事実経過や弁護士が収集した各種資料を総合すると,本件口座が犯罪に利用されていると考えるにつき合理的な理由があったとした。

 

▽東京地裁平成24年1月30日判決(判時2151.36)【控訴】

≪税理士≫ 共同相続人らから相続税の申告手続を依頼された税理士が被相続人の海外財産を相続財産に含めない等として相続税を申告したために過少申告加算税等を納付することになったため,税理士の善管注意義務違反の債務不履行に基づく損害賠償請求をした事案において,判決は「委任者から提供された資料が不十分であったり,委任者の指示説明が不適切であるために,これに依拠して申告書を作成すると適正な税務申告がされないおそれがあるときは,委任者に対して追加の資料提供や調査を指示し,不十分な点や不適切な点を是正した上で税務申告を行う義務を負う」として約1億円の損害賠償が認められた。

 

〇広島高裁岡山支部平成23年8月25日判決(判時2146-53)【上告】

≪弁護士≫ 未成年者の遺産分割協議のために特別代理人に選任された弁護士が(選任審判書には「別紙遺産分割協議書のとおり分割協議をするにつき」と記載されていた),予め協議されていた遺産分割協議案を了承した場合において,その遺産分割協議書の内容が未成年者にとって不相当な内容であり,遺産分割協議を成立させてはならなかったのに特別代理人としての善管注意義務に違反して同協議を成立させたことについて不法行為責任(損害賠償額1072万円)を負うとされた事例

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