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最近の判例(相続関連)

◎最高裁大法廷平成28年12月19日決定(判タ1433-44)

【遺産分割】 共同相続された普通預金債権,通常預金債権,定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。

 

〇東京高裁平成28年8月12日決定(判タ1436-118)

【遺産分割】 遺産分割申立事件において,現金等の分割とともに不動産の換価競売を命ずる場合には,競売による換価代金が当該不動産の評価額とは異なるものとなることが避けられないから,当事者間の公平を図るためには,換価代金はできる限り各当事者の具体的相続分の割合に応じて分配するのが相当であるとされた事例

 

〇東京高裁平成27年2月27日決定(判タ1431-126)

【特別縁故者】 原審審判が,被相続人のいとこ5名を特別縁故者と認めて計9500万円相当の財産分与を認めたのに対し,相続人の一人が抗告をしたところ,本決定は,特別縁故者と認めるに足りる客観的な事情の存否やその程度等について更に審理を尽くさせるのが相当として,原審申立人全員について原審審判を取り消して差し戻した(家事事件手続法206条2項により原審申立人全員について即時抗告の申立てがあったとみなされ,しかも,家事事件については不利益変更禁止の原則の適用がない)。

 

〇大阪高裁平成27年10月6日決定(判タ1430-142)【確定】 

【寄与分】 被相続人の家業である農業に従事したことを理由とする寄与分を遺産総額の30パーセント(約1031万円)と定めた原審判を変更し,農業に従事したこと以外の木よを認めることができないことも考慮して,農地のみの評価額の30パーセント(約574万円)と定めた事例

 

◎最高裁平成28年6月3日判決(判タ1428-31)

【遺言】 「花押」を書くことは,民法968条1項の「押印」の要件を満たさない。

 

▽東京地裁平成28年3月25日判決(判タ1431-215)

【遺言】 遺言内容の記載された書面の文面上には遺言者の署名のみで押印を欠いていたが,2枚からなる書面の1枚目と2枚目に跨って遺言者の契印がある遺言が有効とされた。


 

◎最高裁平成28年2月26日第2小法廷判決(判タ1423-125)

 ①相続の開始後,認知によって相続人となった者が,他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は,価額の支払を請求した時である。②民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は,履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
 

▽大阪家裁平成28年1月22日審判(判タ1431-244)【確定】 

【遺骨・祭祀財産 】 審判は,遺骨については民法897条2項を準用して,被相続人の祭祀を主宰すべき者(遺骨の取得者)を指定することができるとして,申立人ら(被相続人の甥・姪)ではなく,生前,生活関係を緊密にして葬儀も主催した相手方を遺骨の取得者として定めた。

 

◎最高裁平成27年11月20日第2小法廷判決(判タ1421-105)

【遺言】遺言者が自筆証書の遺言書に故意に斜線を引く行為は,その斜線を引いた後になお元の文字が判読できる場合でも,その行為の一般的な意味に照らして,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であり,「故意に遺言書を破棄したとき」(民法1024条)に該当して,遺言を撤回したものとみなされる(原審は元の文字が判読できる状態であることから反対の結論)。

 

▽札幌家裁滝川支部平成27年9月11日審判(判タ1425-341)

【特別縁故者】 被相続人に対して介護予防支援事業契約に基づき予防訪問介護サービスを提供等したことを理由として地方公共団体(市)が特別縁故者に対する相 続財産分与の申立てをした事案。審判は,業務が地方経協団体の事務として実施されたものであること,対応期間は約1年半であったこと,火葬等も法律に基づ いて行われて,その費用は相続財産から支払われたこと,被相続人が遺贈するといった話をしていた事情もないことから,申立てを却下した。

 

〇札幌高裁平成27年7月28日決定(判タ14123-193)【確定】 

【寄与分】被相続人が経営する簡易郵便局の事業に従事したことを理由とする寄与分について,原審は遺産総額の約3割(3100万円)を認めたが,抗告審は,被抗告人夫婦が相応の収入を得ていて,被相続人と同居して家賃や食費を被相続人が負担していたこと等から寄与分を認めなかった事例。

 

▽東京地裁平成26年11月6日判決(判タ1421-295)【控訴】

【遺言】自筆証書遺言の効力が争われた事案。判決は,第2遺言作成時の亡Aの遺言能力について,記憶障害,見当識障害,せん妄様の症状,異常な言動がみられたこと,要介護度5の認定を受けていたこと,長谷川式の検査結果が10点であったことなどの事情から判断能力は相当程度低下していたと認め,遺言は遺言能力を欠き無効とした。

 

〇名古屋高裁平成26年6月26日決定(判タ1418-143)【確定】 

【祭祀財産 】 被相続人の祭祀財産(仏壇,墳墓等)の承継者等が争われた事案。原審は,被相続人死亡後,頻繁に法要を行うなど祭祀財産への関心が高く,今後の祭祀財産の管理方針が実際的であるとして,申立人を祭祀承継者とした。しかし,抗告審は,被相続人の生前,親密に交流して療養に努め,被相続人の葬儀も取り仕切り,今後の祭祀財産の管理方針について被相続人の意向に沿うと推認される考えの相手方を祭祀承継者とした。

 

〇東京高裁平成26年1月15日決定(判タ1418-145)

【特別縁故者】被相続人の従姉の養子が,特別縁故者として相続財産の分与を求めた事案。抗告審は,被相続人が単身で身寄りがなく,抗告人が被相続人の死後,法要や被相続人宅の庭木等の維持管理に一定の労力と費用をかけていること等の貢献を加えて検討しても,生前の交流の程度に鑑みると特別縁故者と認めることはできないとした。

 

◎最高裁平成25年11月29日第2小法廷判決(判時2206ー79,判タ1396-150)

①共有物について,遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分と他の共有持分とが併存する場合,共有者が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり,共有物分割の判決によって遺産分割共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり,この財産の共有関係の解消については民法907条に基づく遺産分割による。

②遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,その者に遺産共有持分の価格を賠償させる方法による分割の判決がされた場合には,遺産共有持分権者に支払われる賠償金は,遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであるから,賠償金の支払を受けた遺産共有持分権者は,これをその時点で確定的に取得するものではなく,遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負う。

③ 裁判所は,遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ,そのものに遺産共有持分の価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする価格賠償の方法による分割の判決をする場合には,その判決において,各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で,遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができる。

 

【遺言】〇大阪高裁平成25年9月5日判決(判時2204-39)【上告】 

亡Aの 「私が亡くなったら財産については私の世話をしてくれた長女のXに全てまかせますよろしくお願いします」との自筆証書遺言に基づき,Xが銀行に預金の払戻請求をした事案において,第1審はこの遺言を遺産分割手続をXが中心となって行うよう委ねる趣旨であると判断した(Xの遺贈に基づく請求を棄却)のに対し,本判決は,本件遺言作成当時の事情及び亡Aの置かれていた状況に鑑みると,本件遺言は,亡Aの遺産全部をXに包括遺贈する趣旨のものであると理解するのが相当であると判断した。

 

◎最高裁平成25年9月4日大法廷決定(判時2197-10)

 平成13年7月に死亡した被相続人Aの遺産分割審判に係る特別抗告事件において,非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号但書前段の規定は「遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していた」とし,「本決定の違憲判断はAの相続の開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき,本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」とした。

 

〇東京高裁平成25年8月28日判決(判タ1419-173)【確定】 

【遺言】亡 Aの末期がんの死亡6日前に作成された公正証書遺言の効力が争われた事案。争点は,遺言書作成時のAの遺言能力。判決は,Aが,当時,薬剤の影響と思われる傾眠傾向や精神症状が頻繁に見られるようになったこと,公正証書遺言作成時に公証人の問いかけ等に受動的に反応するだけで,公証人の案文読み上げ中に目を閉じてしまったりしたほか,自分の年齢を間違えて言ったり,不動産を誰に与えるかについて答えられなかったこと,本件遺言書と同様の考えを平成22年7月に大幅に変更したのにその後に遺言の内容を変更した合理的な理由が見出しがたいことから,遺言応力を欠いていたと判断した。

 

〇大阪高裁平成25年7月26日決定(判時2208-60)【確定】

【遺言】遺言による特別受益については,黙示の持戻免除の意思表示の存在を認定するには,生前贈与の場合に比べて,より明確な持戻免除の意思表示の存在が認められることを要する。

 

▽京都地裁平成25年4月11日判決(判時2192-92)【控訴】

【遺言】認知症の高齢者による会社の発行済みの全株式を含む数億円の全財産を会社の一時期の顧問弁護士に遺贈する内容の秘密証書遺言,自筆証書遺言が意思能力を欠くとして無効とされた事例(「本件遺言は文面こそ単純ではあるが,数億円の財産を無償で他人に移転させるというものであり,本件遺言がもたらす結果が重大であることからすれば,本件遺言のような遺言を有効に行うためには,ある程度高度の(重大な結果に見合う程度)の精神能力を要する」)

 

 

〇東京高裁平成25年3月6日判決(判時2193-12,判タ1395-256)【上告】

 妻に全財産を相続させる旨の自筆証書遺言をしていた81歳の男性(鬱病,認知症)が妻の生存中に実妹に全財産を相続させる旨の公正証書遺言が遺言能力を欠き無効であるとされた事例(第1審は遺言を有効とした)

 

 東京家裁平成24年4月20日判決(判タ1417-397)【後抗告棄却・確定】

 被相続人の相続財産(約1億4000万円)について,特別縁故者に対する財産分与の申立がされた事案。,①被相続人の亡甥の妻については,被相続人と甥との間で親密な交流があり,財産の管理処分を任せる意向もあったこと,しかし,甥が死亡した後は被相続人がしぼうするまで約3年間に会うことがなく縁故関係が薄かったことから500万円,②被相続人の義理の従妹については,長期にわたり交流があり,死亡の約10年前から自宅の鍵を預かり,比較的高い頻度で自宅を訪問して家事を行い,被相続人の妻の世話やその死亡時に被相続人と二人で密葬を行ったなど通常の親戚づきあいを超えた親密な関係があったとして2500万円の分与を認めた。

 

▽東京地裁平成24年1月25日判決(判時2147.66)【確定】

 銀行の預金等を相続させる旨の遺言によって指定された遺言執行者が銀行に普通預金の払戻を求めたが拒否されたため不法行為に基づく損害賠償請求等をした事案において,判決は,「金銭債務の債務者の履行拒絶が不法行為に該当するといえるためには,履行拒絶行為自体が公序良俗に違反するとみるべき事情が存するなど高度の違法性が認められる例外的な場合に限られる」「債権についての相続させる遺言がさrた場合の遺言執行者の権限・任務については,判例上何ら明らかにされておらず,下級審の裁判例も分かれている状況であり・・・金融機関において遺言執行者からの払戻請求に慎重な態度で臨み,事案に応じて,相続人の全部又は一部の意思確認を求めることにも当該禁輸機関の立場からは一定の合理性を見出すことができる。」「相続届に相続人の全部又は一部の署名捺印がされなければそれに応じないとの金融機関の対応が,債務不履行と評価されることがあり得るとしても,それに留まらず,直ちに不法行為としての違法性を有するものとみとめることはできない」として,不法行為に基づく損害賠償請求は認められなかった(預金払戻請求権に基づき,払戻請求をした時点から年6%の遅延損害金を付した請求が認められた)。

 

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